今日の活版印刷
活版の技術は、以降改良を加えられながらも5世紀にわたって印刷の中心に居続けた。改良と言ってもそれらは活版印刷の原理に直接踏み込むものではなく、これは技術の歴史の中では稀有とも言える息の長さであった。だがしかし写真植字とDTP化はその命脈を途絶えさせる。デジタル製版が可能になり、現在の日本では活版印刷は絶滅に近い。名刺・はがき程度の印刷をやってくれる印刷業者はあるものの、本を一冊分、というような会社はほとんど無い。
活版印刷で書籍を組んで刷るということは、単に版面を構成する文字を並べるだけでも膨大な数の活字が必要になる。これはアルファベットでもそうであるし、日本語や中国語など字種の多い文字言語においてはより顕著である。また、行間や余白は写植・DTPに於いては文字通り「何もない空間」であるが、活版ではインテルやクワタなどの込め物によって詰められた、まさに「充満した空間」なのであって、それらがまた金属(あるいは木)であるゆえにその分の重量も半端なものではない。さらに大量印刷の為には原版刷りではなく、紙型を取って複製する設備なども必要であるなどの特徴がある。これは、印刷機そのものよりも手前の工程において、大量の資材と人手を要することを意味する。
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こういった理由のため、大型設備を用いた活版印刷を「技術の保存」を目的として保っていくことは極めて困難であり、それがいわゆる伝統工芸化を阻んでいる。そういった中でも、活版印刷を辞める印刷会社から道具・機材を譲り受け、プライベートプレスを行っている、という人もいる。
活版印刷をする際には、まず印刷しようとする原稿と、印刷に必要な活字を用意する。ただし和文の場合は文字が膨大に存在するため、あらかじめ使う活字だけを用意しておく(文選)。その後、適切な活字を選択し、インテルなどとともに原稿に従って並べる(植字)。組版ステッキ上に並べていき、数行ごとにゲラに移しながら版全体を作り上げていく。なお、文字ごとに大きさの違う数千種以上の活字から適切なものを選択し、印刷寸法に応じた枠内に適切に配置するには、高度な訓練が必要である。